| 【第8回目
12月号】
「この家のスゴイところはね、これだけの人間を、一気に収容できるってこと。そのひと言につきるね!」
演奏が終わり食事タイムに突入すると、60名近い人々が、いそいそと動きはじめる。蒸し上がったばかりのパンを求めてデスクに群がる人、椅子に腰かけたまま、連れが食べ物を選り分けてくるのを待っている人、人と人の間をうまいことすりぬけてフルコースをものにする子どもたち。
ヨウスケは2階の床にどっかと座り、この状況を、冷静に分析していた。
「ここよりでかい家はいっぱいあるけど、でかいからって、これだけの人間が入るってもんでもないでしょ。部屋の中にソファだのテレビだのがあるから」
たしかに。ここでは家具といったら椅子と丸テーブルくらいだもんなぁ。
「おまけに、小さい家なのに3坪分も吹き抜けがある。それでも、これだけの人が入るんだぜ」
たしかに。吹き抜け部分を歩くことはできないわなぁ。
「それも、ただ人が部屋の中をうろついてるだけっていうんじゃない。なんと飲み食いまでしてるんだぜ。こりゃフツウの住宅じゃ、ちょっと考えられねぇケース!」
たしかに。...フツウじゃない!?でもね、いつもこんなことしてるってわけじゃないんだよ、ヨウスケ。
自分のもっているエネルギーを存分に発揮したい...そう考える人たちがここに集結した瞬間、こんなふうに空間を愉しむこともできる住宅ってことなんだと思うよ。
02.12.09
スミレアオイハウス管理人
萩原百合 |